各種減税特例のまとめ
この記事では、相続税を減税できる各種の控除・特例を5種ご紹介します。
目次
配偶者の税額の軽減
どんな特例なの?
亡くなった方の配偶者が相続を行う場合に、取得する正味の遺産額のうち「1億6,000万円」または「法定相続分」のいずれか高い金額分だけ控除できる制度です。
減税を受けるための条件・手続き
減税を受けるには、相続税申告書に合わせて下記の書類を提出します。
· 配偶者の税額軽減額の計算書(第5表)
· 遺言書または遺産分割協議書のコピー
· 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書のコピーを添付する場合)
未成年者の税額控除
どんな特例なの?
未成年者が相続する場合に、「20歳に達するまでの年数×10万円」で計算した金額を、相続税の金額から差し引ける特例です。
減税を受けるための条件・手続き
この特例で減税を受けるには、相続人が下記の条件を満たす必要があります。
· 相続や遺贈で財産を取得した時点で日本国内に住所がある(例外的に住所がなくても認められるケースもあります)
· 相続や遺贈で財産を取得した時点で20歳未満
· 被相続人から見て法定相続人である
どんな特例なの?
相続人が85歳未満の障害者である場合、下記の計算式で算出した金額を、相続税の金額から差し引ける特例です。
· 満85歳になるまでの年数 × 10万円(特別障害者の場合は20万円)
減税を受けるための条件・手続き
この特例で減税を受けるには、相続人が下記の条件を満たす必要があります。
· 相続や遺贈で財産を取得した時点で日本国内に住所がある(一時居住者であり、かつ亡くなった方が一時居住被相続人または非居住被相続人である場合は除く)
· 相続や遺贈で財産を取得した時点で障害者である
· 被相続人から見て法定相続人である
小規模宅地等の特例
どんな特例なの?
亡くなった方が生前事業や居住用として使っていた宅地(不動産)があった場合に、宅地面積の一部についてその評価額を50%〜80%減額できる特例です。たとえば亡くなった方が住んでいた宅地を配偶者や同居していた親族が相続し、引き続き居住する場合には、330平方メートルまでの面積について評価額を80%減額できます。
減税を受けるための条件・手続き
小規模宅地等の特例を利用するには、対象となる宅地が「特定事業用宅地等」、「特定の同族会社事業用宅地等」、「特定居住用宅地等」、「貸付事業用宅地等」のいずれかに該当する必要があります。
たとえば特定事業用宅地等(亡くなった方が事業で用いていた宅地)の場合は、下記2つの条件をいずれも満たさなくてはいけません。
· 事業承継要件:亡くなった方の事業を相続税申告の期限までに引き継ぎ、その申告期限までその事業を営んでいる
· 保有継続要件:その宅地等を相続税申告の期限まで保有している
他の宅地に関する条件については、国税庁のHPを参考にしていただければと思います。
なお特例を受けるには、相続税申告書と合わせて主に下記書類を添付し、所轄の税務署に書類を提出する必要があります。
· 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書(第11・11の2表の付表1)
· 遺言書または遺産分割協議書のコピー
· 亡くなった方のすべての相続人を明らかにできる戸籍謄本
· 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
参考:相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例 国税庁
非上場株式等の相続税の納税猶予および免除の特例
どんな特例なの?
中小企業の経営者から非上場株式を相続する際に、すべての相続税の納税を猶予または免除できる特例です。
減税を受けるための条件・手続き
この特例により納税猶予を受けるには、主に「会社」、「後継者」、「先代経営者」という3つの条件を満たす必要があります。
会社については、上場会社や資産管理会社などに該当しない一般的な中小企業であることが条件となります。後継者や先代経営者については、議決権の過半数を有することなどが条件となります。
なお後継者がさらに事業承継を果たせば、猶予していた相続税は免除されます。
手続きに関しては、税務署に制度を活用する旨を記載した申告書を提出すると共に、納税が猶予される相続税額及び利子税の額に見合う担保の提供を行う必要があります。
参考:非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等 国税庁
まとめ
今回お伝えした中から、ご自身に最適な特例を活用していただければと思います。