寄与分とは、被相続人の生存中に被相続人の財産の増加または維持に特別に貢献した程度のことです。

相続人は、寄与分に応じてその分財産を多く相続することができる場合があります。

例えば以下のようなケースでは寄与分が認められる可能性があります。

  • 被相続人の事業関して労務を提供した
  • 財産上の給付を行なった(生活費を渡したなど)
  • 被相続人の療養看護を行なった

寄与分の計算

例えば被相続人の財産が3,000万円、法定相続人が3人いた場合、相続人Aの寄与が600万円あったとします。

この場合、3,000万円の相続財産から600万円を寄与分として控除し、残りの2,400万円を法定相続分に基づき、800万円ずつ相続します。

相続人Aは寄与分600万円+法定相続分800万円の合計1,400万円相続することができます。

寄与の対象や要件

寄与の対象は法定相続人のみで、寄与分が認められる要件は基本的に他の相続人の同意を得られることです。

寄与は法定相続人だけが認められる

寄与が認められるのは法定相続人だけです。

相続人以外の人がいくら被相続人の財産の増加・維持に貢献したとしても寄与分は認められません。

他の相続人が認めれば寄与は成立するが

寄与分は原則として遺産分割協議の際に相続人同士の話し合いで決めるべきことです。

他の相続人が寄与に同意して納得した上で遺産分割協議書を作成することができるのであれば、寄与分を考慮した上での相続をすることができます。

しかし、遺産分割協議で寄与を認めてしまうと、他の相続人にとっては自分たちの相続分が少なくなってしまいます。

そのため、すんなりと遺産分割協議で寄与分が認められるとは限りません。

調停や審判になった場合の寄与の要件

遺産分割協議によって寄与が認められない場合には裁判所へ調停を申し立てることができます。

調停の申し立て

調停が不成立↓

審判

審判の結果に不服がある場合は審判結果の告知を受けた日の翌日から2週間以内に高等裁判所へ即時抗告

相続人同士の協議で寄与分が認めてもらえない場合には、このような流れで裁判所に寄与分を認めてもらわなければなりません。

寄与の5つの型

裁判所に認めてもらうためには寄与の型について以下の5つのうちのいずれかに当てはまらなければならないとされています。

  • 家事従事型:被相続人の家事に従事した
  • 金銭等出資型:被相続人に金銭を出資した
  • 療養看護型:被相続人の療養看護を行なった
  • 扶養型:被相続人を扶養した
  • 財産管理型:被相続人の財産を管理し維持・増加に貢献した

これら以外の場合には寄与分を認めてもらうことは難しくなります。

<h3>特別の寄与の要件を満たす必要がある</h3>

裁判所に寄与分を認めてもらうには「特別の寄与」という要件を満たす必要があり、具体的には以下の条件を満たさなければなりません。

  • 被相続人の財産の維持・増加があったこと
  • 寄与と財産の維持・増加の間に因果関係があること
  • 特別の寄与であること

寄与行為をしたから財産が維持・増加できたと言えることと、「特別の」寄与であることが条件になります。

特別の寄与とは、通常の相続人と被相続人の範疇を超えた寄与ということで、例えば月に1回程度、銀行や病院へ親を連れていく程度では通常の寄与と言えるので「特別」とは認められない可能性が高くなります。

他の相続人よりも特別に被相続人の財産の増加や維持に貢献した場合のみ、特別の寄与があったと認められます。

寄与の注意点

寄与には以下の2つの注意点があります。

寄与分は相続財産まで

寄与分は相続財産の範囲までとなっています。

いくら被相続人に対して多額の出資をしたとしても相続財産の範囲を超える寄与分は認められません。

寄与を遺言で定めることは不可能

寄与を遺言で定めることは不可能です。

特別に貢献してくれた相続人に対して多くの財産を残したいと考えるのであれば、遺贈や贈与などの方法があるため、遺言で寄与分を定めることはできません。

まとめ

寄与分とは被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献があった場合に認められるもので、その分多くの財産を相続することができます。

相続人での話し合いで解決できれば全く問題ありませんが、話し合いによって解決できない場合には調停になります。

相続人との寄与分についての話し合いが妥結しない時には、早めに司法書士などの専門家へ相談するようにしてください。

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