相続で生命保険を受け取る手続き
目次
死亡生命保険金を受け取るまでの流れ
生命保険の死亡保険金を受け取るまでの流れは基本的に以下のようになります。
- 被相続人の死亡により死亡保険金の受取事由が発生
- 「保険契約者」または「保険金受取人」が生命保険会社に電話や書面などによって被保険者死亡の連絡をする
- 生命保険会社より必要書類の案内および保険金請求書が郵送される
- 保険金受取人が保険会社に対して保険金の請求手続き
- 保険会社による支払いの審査
- 保険金受取人へ保険金の支払い
保険金請求に必要な書類
保険金請求に必要な書類は以下のような書類です。
- 請求書 被保険者の住民票の除票
- 受取人の戸籍抄本
- 受取人の印鑑証明
- 医師の死亡診断書または死体検案書
- 保険証券等
基本的に被保険者が死亡したという証明と、受取人と被保険者との関係証明する書類、受取人の本人確認ができれば保険金を受け取ることができます。
生命保険の受け取りにはそれほど複雑な書類は必要ありません。
契約者貸付がある場合
もしも生命保険に未返済の契約者貸付金等がある場合には、死亡保険金から契約者貸付金の残高が差し引かれます。
契約者貸付金がある場合も特別に返済等の手続きをすることなく、比較的簡単に死亡保険金を受け取ることができます。
しかし、これは保険金が相続財産ではない場合の手続きです。
被相続人が生命保険の契約者で相続財産になる場合には手続きはさらに煩雑になります。
死亡保険金が相続財産であるケース
死亡保険金は上記のように受け取り手続き自体はそこまで複雑ではありません。
必要書類を揃えて手続き通りに行えば、基本的には誰でも受け取りをすることができます。
しかし、保険契約者がすでに亡くなった被相続人となっている場合には、当該保険金や保険契約者の地位は相続財産になるので注意が必要になります。
以下のケースでは、保険金や保険契約者としての地位が相続財産になります。
- 故人が保険契約者であり、受取人でもあった場合には、死亡保険金は相続財産
- 個人が保険契約者で受取人が故人以外だった場合には契約者の地位が相続財産
これらのケースでは保険に関して相続財産が発生します。
上記のように保険会社に所定の書類を送ることで保険金の受け取りができるわけではなく、遺産相続手続きを行わなければ解約などの手続きをすることができません。
保険の相続のために遺産分割協議が必要
相続財産である生命保険を相続するためには遺産分割協議が必要になります。
被相続人が保険契約者となっているか否かによって被相続人死亡時の保険金受け取り手続きは全く異なるという点に注意しましょう。
生命保険は税金の関係も複雑
生命保険金はみなし相続財産と見なされて、契約関係によって課税される税金が以下のように異なります。
保険契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | 税金 |
被相続人 | 被相続人 | 相続人 | 相続税 |
相続人(親) | 被相続人 | 相続人(子) | 贈与税 |
相続人(親) | 被相続人 | 相続人(親) | 所得税 |
このように、同じく被相続人の死亡によって受け取る生命保険金であったとしても契約関係によって発生する税金は異なり、税率も異なることになります。
相続の際に受け取る生命保険にどの税金がかかるのかを確認し、分からない場合には司法書士や税理士などの専門家へ相談するようにしましょう。
まとめ
相続財産と判断されない生命保険であれば、被相続人死亡時に所定の書類を揃えるだけで簡単に生命保険を受け取ることができます。
しかし、被相続人が契約者となっている生命保険では、保険金や契約者としての立場は相続財産になるので遺産分割協議が必要になります。
また、契約関係によって発生する税金も異なるので税務関係も複雑です。
遺産分割協議や必要な場合など、手続きや税務面で不明な点が多い場合には、司法書士や税理士へ相談しながら生命保険の受け取り手続きを進めるとよいでしょう。