相続放棄手続き後の対応
相続放棄の手続きが終わった後も、債権者や新しい相続人への対応が必要です。適切な対応を怠ると、相続人や債権者との間でトラブルとなったり、単純承認とみなされて借金を背負う事態に陥ります。そこで今回は、相続放棄の手続き後の対応をくわしく解説します。
目次
被相続人の債権者から連絡が来た場合の対応
被相続人が借金などをしていた場合、相続放棄をした旨を知らない債権者から返済要求などの連絡が来る可能性があります。この章では、被相続人の債権者から連絡が来た場合の対応をご説明します。
支払い要求などに応じる必要はない
相続放棄を行えば、一切被相続人の財産に関して義務等は負いません。したがって、被相続人の債権者から借金の取立て等が来たとしても、その要求に応じる必要はありません。
一切支払う必要はないため、対応が面倒であれば無視しても大丈夫です。
証拠となる書類(相続放棄申述受理通知書)を見せる
とはいえ、あまりにもしつこく取り立ての連絡を行なってくる悪徳な業者もいるでしょう。その場合は、相続放棄を行なった旨を証明する書類を見せると良いでしょう。
ほとんどの場合は、相続放棄を実施した証拠を示せば、それ以降連絡が来ることはないでしょう。しかし悪徳な業者の場合は、相続放棄の証拠を見せても食い下がってくる恐れがあります。その場合には弁護士に相談するなど、しかるべき措置を取れば問題ありません。
新しく相続人となる人への対応
相続放棄を行うと、本来は相続人ではなかった人が新しく相続人となります。相続放棄を行った場合、新しい相続人に対してどのような手続きが必要となるのでしょうか?
新しい相続人に対して連絡する
たとえご自身が相続放棄を行っても、新しく相続人になる人に対して連絡がいくわけではありません。したがって、相続放棄をおこなったら新しい相続人に対してその旨を連絡するのがオススメです。
連絡を怠ると、意図せず新しい相続人が亡くなった方の借金を背負うことになるリスクがあるため注意しましょう。
新しい相続人が財産管理を始めるまでは財産の管理を行う
民法第940条により、相続放棄をした場合でも、新しい相続人が相続財産の管理を始めるまでは、財産の管理を継続することが義務となっています。
たとえ相続放棄を行っても、相続財産の管理はしばらく必要となるのでご注意ください。
相続放棄後でも単純承認を行ったとみなされる場合があるので注意する
相続放棄の申し付けが受理された後でも、後から単純承認を選んだとみなされる場合があるので注意しましょう。
具体的には、相続財産のすべてまたは一部を隠したり利用した場合に単純承認とみなされます。せっかく相続放棄しても、亡くなった方の借金を背負うことになってしまうので、単純承認となるような行為は避けるようにしましょう。
まとめ
今回説明したように、相続放棄の手続きが完了しても、債権者や新しい相続人に対して、しかるべき対応を行わなくてはいけません。また、相続財産を安易に利用するなどすると、単純承認となってしまうので注意が必要です。