遺言書がある場合とない場合の相続登記

遺産相続センターからのお知らせ

遺言書がある場合とない場合の必要書類の違い

遺言書があってもなくても、遺言の内容が遺贈でない場合には手続き自体は変わりません。

ただし、必要書類は遺言書があるかないかによって以下のように異なります。

 遺言あり遺言なし
遺言書必要不要(なし)
被相続人の戸籍謄本(除籍謄本)亡くなったことを証明するため必要相続人全員の特定のため出生から死亡までの戸籍が必要
相続人の戸籍謄本不動産の相続を受ける者相続人全員分
遺産分割協議書不要必要(相続人全員の実印・印鑑証明書)

この他、相続人全員の住民票は遺言があってもなくても必要になります。

また、不動産の登記識別情報通知は必要ないということも頭に入れておきましょう。

遺言書がない場合の相続登記

遺言書がない場合の相続登記は、登記に至るまでに相続人同士が話し合いをすることが重要になります。

相続人同士で遺産分割協議が必要

遺言がない場合には、相続人で遺産分割の協議を行わなければなりません。

遺産分割協議は、原則として相続人全員の同意が必須です。

そのため、相続人の中で1人でも遺産分割協議に同意をしない人が存在すると遺産分割協議は決着せず、相続登記に必要な遺産分割協議書を作成することができません。

遺産分割の協議に相続人全員が同意した場合は、相続人全員が遺産分割協議書に署名・実印を押印し遺産分割協議書を作成します。

ここに、前述した印鑑証明書や戸籍謄本や住民票を添付することで相続登記の手続きを進めることができます。

遺言書がある場合の相続登記

一方、遺言書がある場合の相続登記は簡単です。

相続人同士で話し合いをする必要がないので、「相続人の1人が遺産分割協議に同意しないから手続きが進まない」「全員の印鑑証明が揃わずに手続きが進まない」という不都合がありません。

ただし、遺言が手書きの場合には、法務局に提出する前に家庭裁判所で検認の手続きを行う必要があるという点に注意しましょう。

公正証書の遺言はそのまま法務局へ提出することができます。

他の相続人の協力は不要

遺言がある場合には、他の相続人の協力は必要ありません。

他の法定相続人から印鑑や印鑑証明を受け取る必要なく、遺言書で指定された相続人だけで相続登記の手続きを進めることができます。

遺言書、被相続人の除籍謄本、相続人の住民票と戸籍謄本を持参して法務局へ相続登記の申請を行いましょう。

なお、遺言書の中に法定相続人以外が相続人となる旨や遺贈を行う旨が記載されていた場合には、他の相続人の協力が必要になることもあります。

この場合には、手続きが若干複雑になるので、司法書士などの専門家に手続きを依頼した方がよいかもしれません。

まとめ

遺言書がある場合とない場合で相続登記の手続き自体は変わりません。

しかし遺言書がない場合には、相続登記の前に相続財産をどのように配分するのかという遺産分割協議を行わなければなりません。

この協議がまとまらない場合には相続登記を進めることができないので注意しましょう。

また、どうしてもまとまらない場合には司法書士などの専門家に依頼した方が手続きは円滑になります。

一方、遺言書がある場合には相続登記は非常に簡単です。

被相続人の死後に相続人同士で揉めないようにするためには遺言書を作成しておくことは非常に有効な方法です。

司法書士などの専門家を交え、生前から遺言書を作成しておくことで被相続人死亡後に兄弟間などで揉め事になるトラブルを軽減することができるので、相続については元気なうちから早めに検討を始めた方がよいでしょう。

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