銀行の遺産整理と費用
目次
銀行の遺産整理とは
銀行の遺産整理とは、その名の通り銀行が遺産相続の代行や支援を行うというものです。
銀行の遺産整理と言えば、信託銀行が有名ですが、最近では普通銀行も遺産整理業務を行なっています。
銀行が窓口となって相続手続を支援・代行すること
銀行の遺産整理とは銀行が窓口になり、相続手続を代行したり、支援したりすることです。
- 法定相続人の確定
- 相続財産の確定
- 相続財産の名義変更
などの遺産相続手続きを銀行がヘルプするという内容です。
詳しくは後述しますが、銀行にできるのはあくまでも相続手続の補助だけで、実際の相続登記や納税の手続きは自分で行う必要があります。
全てを任せることができないという点には注意が必要ですが、被相続人が特定の銀行に多額の預金をしている場合や、被相続人が生前銀行に遺産整理を依頼しているような場合には、銀行での遺産整理は便利です。
遺産整理業務の流れ
遺産整理業務の流れは基本的に以下のような流れになります。
- 相続人の調査
- 相続財産の調査
- 遺産分割協議の調整
- 遺産分割協議書の作成
- 遺産名義変更・不動産登記
- 相続税の申告・納付
銀行の遺産整理で注意をしなければならない点は、これらの工程全てを銀行が独自で行なっているわけではないという点です。
銀行の遺産整理は各セクションで士業へ外注している
銀行の遺品整理は士業を持っている専門家が手続きを行なっているわけではありません。
そのため、上記の遺産相続手続きの様々なセクションで個別の専門家へ依頼することが一般的です。
例えば以下の手続きでは、それぞれの業務の代理を行うことができる専門家へ外部委託を行います。
相続人と相続財産の調査では、事実証明書類の作成を行いますが、ここは士業独占業務です。
また、遺産分割協議書を相続人以外の人間が作成する場合も士業の独占業務になるので銀行が代理で行うことはできません。
権利義務書類の作成を行う場合には行政書士・司法書士・弁護士などの資格が必要です。
さらに、名義変更・不動産登記を行うことも士業の独占業務、さらに相続の税務申告は税理士でなければ代理をすることは不可能です。
このように、銀行が遺産整理を行うと言っても、実際には要所要所で士業へ業務委託をしているため、最初から司法書士などへ委託した方が手続き的には簡素化します。
銀行の遺産整理の費用
それでは銀行の遺産整理の費用はどの程度かかるのでしょうか?
遺産整理の費用は遺産の金額や取り扱う銀行によって設定は異なるものの、大手信託銀行では以下のようになっています。
相続財産評価額 | 手数料率 |
5,000万円以下の部分 | 2.20% |
5,000万円超1億円以下の部分 | 1.65% |
1億円超2億円以下の部分 | 1.10% |
2億円超3億円以下の部分 | 0.88% |
3億円超5億円以下の部分 | 0.66% |
5億円超10億円以下の部分 | 0.55% |
10億円超の部分 | 0.33% |
例えば、評価額1億円の財産を遺産相続した場合には165万円もの手数料が発生します。
銀行の遺産整理には高額なコストがかかることを理解しておきましょう。
司法書士に一括委託した方が安価になる
上記のように、銀行へ遺産整理を委託すると、かなりの高額な費用がかかってしまいます。
銀行の遺産整理の利益に加えて士業を持っている専門家への委託料が発生してしまうためです。
では、司法書士へ直接委託した場合にはどの程度の費用がかかるのでしょうか?
- 相続人調査:3万円〜5万円
- 相続財産調査:3万円〜5万円
- 遺産分割協議の調整・立会い:8万円〜10万円
- 遺産分割協議書の作成:8万円〜10万円
- 銀行預金の相続代行:5万円〜6万円
- 相続登記の申請:2万円〜4万円
合計29万円〜40万円
実費は別途必要になるものの、司法書士へ直接依頼した方が、料金を半分程度に納めることも不可能ではありません。
遺産整理の代行は司法書士へ直接依頼するということも積極的に検討すべきかもしれません。
まとめ
遺産整理の手続きは銀行へ依頼することができます。
しかし、銀行へ依頼した場合には遺産の金額がよほど大きな場合以外には高コストになってしまうことが一般的です。
被相続人が生前に銀行へ依頼していた場合や、特定の銀行へ高額な預金がある場合以外は司法書士へ直接依頼した方が割安になり、手続きもスムーズです。
遺産整理手続きで迷ったら司法書士へ気軽に相談してみましょう。