遺産相続から不動産売却手続きまでの流れ
この記事では、遺産相続から不動産売却手続きまでの流れを解説します。
目次
手順①:不動産を相続する相続人の確定
はじめに、売却したい不動産を誰が相続するかを決定します。遺言書がある場合は遺言書の内容にしたがって決定し、ない場合は法定相続分に従うか遺産分割協議により決定します。
遺言書がない場合、後述する相続登記を行う際に相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書が必要となります。つまり全員が不動産の売却に賛成していないと、不動産売却の手続きは進められないため、必ず遺産分割協議などにより、全員の賛成を得る必要があります。
手順②:相続登記の実施
被相続人の名義のままでは、不動産を売却できません。そこで、不動産の名義を相続人に変更するために、相続登記を実施します。
相続登記では「登記申請書」に加えて、主に下記の書類が必要となります(遺言書の有無などによって若干異なります)。準備した書類は、名義を変更する不動産の所在地を管轄している法務局に提出します。
- 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍
- 亡くなった方の住民票の除票
- 遺産分割協議書 (遺言書がある場合は不要)
- 相続人全員の戸籍謄本(遺言書がある場合は不要)
- 固定資産税の評価証明書
なお相続人全員で不動産の売却利益を山分けする場合は、共有名義での売却も可能です。ただし共有名義での売却手続きは非常に煩雑なので、最初は単独で相続登記を行い、売却後に現金を分ける方法がオススメです。
手順③:不動産業者に売却の相談と依頼を行う
相続登記により名義を変更したら、晴れて不動産の売却手続きを進めることが可能です。まずは、不動産業者に不動産を売却したい旨を相談・依頼します。
ただし不動産業者によって、サポートの手厚さや売却価格などは大きく変わります。少しでも手厚いサポートを受けつつ高い値段で売却するためにも、複数の不動産業者を比較しましょう。
手順④:売却活動の実施
正式に不動産業者に依頼を行うと、売却活動が始まります。買い手探しや宣伝活動などは不動産業者が行うため、基本的に売主が何かを積極的にする必要はありません。
立地の良い不動産や一般住居ならば比較的すぐに買い手がつきますが、取得できる人が限られる不動産(農地など)や立地の悪い不動産の場合は、買い手が見つかるまでに時間がかかるので注意しましょう。
手順⑤:売買契約書の締結と引き渡し
買い手が見つかったら、不動産業者が契約条件などを整理し、売買契約書を締結することとなります。売買契約書を締結すれば、買い手に不動産が引き渡され、その対価として現金を受け取ります。
手順⑥:確定申告と納税
不動産を売却しても、まだ納税手続きが残っているため安心できません。相続した不動産を売却した場合には、売却価格から取得費や譲渡費用などを差し引いた「譲渡所得」に所得税や住民税が課税されます。ちなみに、所得税と住民税の税率は下記の通りです。
- 所得税:15.315%(不動産の所有期間が5年未満の場合は30.63%)
- 住民税:5%(不動産の所有期間が5年未満の場合は9%)
ご自身で売却価格をもとに所得税と住民税の金額を算出し、確定申告を行いましょう。申告と納税により不動産の売却手続きは完了します。
まとめ
遺産相続と相続登記さえ完了すれば、不動産の売却手続きは比較的スムーズに進めることができます。ただし最後に確定申告と納税が必要となるため、忘れずに行いましょう。